窓ガラスを使い分ける
お家を高断熱化するために必須になるのが窓の高性能化。
冬は冷気を室内に取り込まないように断熱性能が優れ、
夏は暑い日差しが入らないように日射遮蔽率に優れた窓を設置されたいと考える方も多いと思います。
ですが、高性能な窓を取り入れたいときに気になるのがコストが高くなることです。
高性能な窓とコストを比較した際にどちらを優先すべきか悩むところです。
コストを低く抑えながら快適に過ごせるお家にしたいのが一番いいですよね。
そこでパッシブデザインを取り入れることでコストを下げつつ、性能を大きく落とさずに、さらに省エネにつながります。
まずパッシブデザインとは、
自然のエネルギー(太陽の光・熱、風など)をうまく活かして快適な住空間をつくることを目指す、建物の設計手法のことです。
自然のエネルギーをうまく活用することで冬は暖かく、夏は涼しく過ごせるお家にしていく方法です。
太陽の光をうまく室内に取り込んだり、カットすることでエアコン等の使用頻度を減らし省エネにつながります。
さて、住宅全体の性能を高くするために全ての窓をトリプルガラスにされる方がいらっしゃると思います。
断熱性能は高くなりますが、日射熱取得率が低くなります。
冬の貴重な暖かい太陽の光を取り込みづらくし、エアコン等の暖房機器でお部屋を暖めることになります。
さらにトリプルガラスの費用はペアガラスよりも高いです。
初期費用や電気代のコストアップをなるべく抑えるには、
冬の日射熱取得率を高めるために南面の窓のみをペアガラス(Low-e複層ガラス)にすることをおすすめします。
南面は一番太陽の光が当たる方角(日射量が大きい)であり、その南面から太陽の光をたくさん取り込むことがポイントです。
冬の太陽高度はどの季節よりも低いため、室内の奥まで届きます。
LIXILより引用
ペアガラスはトリプルガラスよりも日射遮蔽率が低くなりますが、
逆に考えると室内に太陽の光を取り込みやすいということです。
ペアガラスにし、ガラス面積を大きくすることでトリプルガラスよりも太陽の光を室内に取り込めます。
ペアガラスにする→太陽の光を取り込み暖かくなる→エアコン等の使用頻度が下がる→電気代が安くなる(省エネ)
さらにガラスの枚数の他に重要なのが、ガラスの色です。
各メーカー様々な色味があります。
例えばLIXILではクリア、グリーン、ブロンズ(北海道・東北地域限定色)があります。
左からクリア、グリーン、グリーン(高遮熱仕様)
LIXIL TWカタログより引用
ガラスは色がついていない方がより日射熱取得率が高くなります。
LIXILの場合、クリア(59%)>グリーン(46%)>グリーン高遮熱仕様(38%)
クリアが最も日射熱を室内に取り込めるということになります。
色がついていないため、透明度が高く、採光性に優れ、より明るさと暖かさを室内に取り込みます。
以上のことから
南面の窓は窓の開口部を大きくし、ペアガラス(Low-e複層ガラス)、色はクリアをおすすめです。
また、他の方角(北・東・西)に設置する窓はトリプルガラス、色はグリーンをおすすめします。
採光や換気に配慮し、必要最低限な窓の大きさにすることで断熱性、日射遮蔽性、コストカットにつながります。
今まで冬の日射熱取得についてお話してきましたが、夏の暑さ対策はどうするのと気になりますよね。
暑さ対策として軒や庇をうまく活用したり、窓の外側にシェードやすだれの設置や落葉樹を植えることで日差しをカットできます。
スタイルシェード 外壁とフェンスにシェードを固定し、夏の日差しをカット
LIXILより引用
窓の内側に設置するカーテンやブラインドで遮ればよいのでは?と思う方もいらっしゃいますよね。
室内のカーテン等の場合、暑い太陽の光がすでに窓から室内に入ったところで遮蔽しています。
暑い日差しを室内に入れた状態で日差しをカットしていますので、室内は暑くなりやすいです。
さらにカーテン等から放たれる放射熱は室内に残ったままですので、より暑さを感じます。
そのため、窓の外側で日射遮蔽するシェードやすだれをご使用された方が、室内に暑い日差しや放射熱を取り込みにくくなるため、室温が上がりにくくなります。
方角や環境に合わせて窓ガラスを使い分けて、過ごしやすくお財布にも優しいお家づくりにしていきたいですね。